小児の症状 第一回 足の痛み
こんにちは!薬剤師サカモトです
夜寝ようとしたら、子供が突然足が痛いって言いだしました
受診は迷いますが、かかりつけ医はあいていない時間帯
というわけで今回は小児・幼児の足の痛みに関してです
本日もよろしくお願いします
記事を読んで分かること
- 子供が足が痛いと言ったときの対処法
- 足の痛みの原因の病気
- はやめの受診が推奨される症状
受診推奨症状
今、我慢できないくらい辛そうに痛がっていたら医療機関に受診しましょう
- 夜だけでなく昼間も痛がる・片足だけ痛がる
- 腫れ・発熱がある(熱っぽさがある)・どんどんひどくなる(長く継続する)
- 引きずって歩く(跛行「はこう」)のが長く続く
小児・幼児が足を痛がる原因の可能性のある疾患
成長痛
成長痛は3歳~12歳くらい、特に3~5歳が現れやすいです
14歳以上ですと、成長痛ではない可能性も増えます
他の重要な疾患ではないことを確認することが大切です
「膝」が多いです、ふくらはぎ、すね、関節、大腿など下肢どこにでも起こります
成長痛はストレスが原因になっていることもあり、心が和むことで痛みが緩解する事も多いです
痛い部分をさすってやさしくしてあげましょう
お風呂でいっしょにあたためてあげて、さすってあげてもよいです
湿布なども使っても大丈夫です
冷やすのも大丈夫です
お子様が安心すること、痛みが楽になる方法をしてあげることが大切です
幼児期の原因不明の腹痛と少し似て安心すると軽快することが多いです
「おなか痛い、、、足痛い、、」→辛いことがあったり、寂しい、甘えたい時の表現なこともあるかもしれません
成長痛でも泣く程痛がることも多いですが、朝に治っているとその可能性が多く、その時は様子をみてよいでしょう
化膿性関節炎
(小児・高齢者に多い)股関節に細菌が入り炎症を起こす疾患です
放置すると関節が壊れ、その後の運動機能に障害が残ることもあります
股関節・膝・足関節に起こりやすいのが特徴です
原因:細菌性の扁桃炎、皮膚炎、尿道からの感染にて血流にのって関節に入ります
治療:抗菌剤投与
進行し抗菌剤治療が遅れと後遺症が残ることがあるので早めの診断が望ましい病気です
リウマチ熱
(5~15歳に好発)溶連菌の感染のあとに起こります
溶連菌感染症診断時、10日程度抗生物質を飲み切っていただくのは溶連菌感染の後遺症を予防するのも一つの目的です
以前数週間で溶連菌感染の診断があった場合は可能性が高くなります
また確定されていなくても感冒様症状があった子などは溶連菌検査(培養)をすることもあります
リウマチ熱の疑いを前もって否定するためにも溶連菌感染が疑われた場合は小児科に早めに受診することが望ましいです
感染後反応性関節炎
リウマチ熱と似た症状で溶連菌等に感染した後10日位後に発症します
リウマチ熱との違いは、小さな関節にも症状あること、炎症はリウマチ熱より長く2ヶ月以上続くこともあります
心臓の合併症は起きにくく、予後が良い(経過が軽度に改善、後遺症は少ない)です
大腿骨頭すべり症
(10歳代前半に多い)初期は跛行(ひきづる)や軽度の痛みなどの症状で、進行により強い股関節痛が現れます
慢性性ですと、股関節痛・大腿痛、膝関節痛、運動などにより痛みが憎悪します
大たい骨頭(ふとももの骨の上端)部分がすべって後ろにずれる病気です
治療 手術で固定が多く、下肢(足)に荷重をかけないようにします
体重をかけれるようになるまでに期間を要します
ぺルテス病
4〜7歳に好発
症状:股関節~膝の痛み 跛行(ひきづって歩く)
単純性股関節炎と症状は似ています。したがって、単純性股関節炎診断時(症状長引くとき)はペルテス病を否定するため検査することもあります
太ももの骨の上端(大腿骨頭)の血の流れが悪くなり、骨が弱くなり潰れて変形してしまう病気です(骨端症の一種)
治療;牽引などリハビリ・装具使用・回転骨切りや人工関節などの手術など
3歳以下での発症ですと悪化がなければ治療せず経過観察します
単純性股関節炎
症状は股関節が痛み、あるきにくくなります
股関節、太もも痛み、跛行(引くづり歩き)、微熱
原因:ウイルス感染、激しい運動、アレルギー等 はっきりわかってはいません
治療:1〜2週間安静
※症状が長く続いた場合ペルテス病、化膿性股関節炎ではないか精密に検査する必要があります
スポーツによる膝関節などの損傷(オスグッド病)
膝の下のあたりの骨が炎症をおこす病気です
腫れることもあります
治療 痛みがおさまるまで数週間〜1ヶ月程度安静
治癒後痛む場合はストレッチ(ウォーミングアップ)をしっかりする、アイシングを適切にする、補助バンドを膝につけるなどします
骨端症(シーバー病)
症状 初期は運動時の軽い痛み、悪化すると地面に踵をつけずつま先立ちになる
進行すると安静時も痛むようになる
踵など骨の先端部分にある成長軟骨に血流がいかず、壊死が起こる
原因 成長期の踵への過剰な負担
治療 過激な運動を避ける、安静
予後は後遺症を残さず良いです
若年性特発性関節炎 JIA(子供の関節リウマチです)
若年性(16歳未満の)特発性(原因不明の)関節の炎症です
10万人に一人の難病指定
関節炎、高熱、発疹が主な症状です
治療:非ステロイド抗炎症剤、ステロイド、他に免疫機能を調節する薬(生物学的製剤)など
悪性腫瘍
横紋筋肉腫・骨肉腫・ユーイング肉種ファミリー腫瘍・他さらに低頻度な軟部腫瘍
レントゲン、CT、MRI等検査にて発見されることがあり、小児がん全体の数%希少がん種とされ発生頻度は少ないです
発生するなら膝がやや頻度が高いです
治療:化学療法(抗がん剤)・手術・放射線療法
蜂窩織炎
皮下組織で細菌が増えて起こる急性の感染症です
足の甲や”すね”に起こりやすいです
傷口から感染、切り傷、掻き傷や皮膚が弱い状態、糖尿病や抗がん剤治療中も発生しやすいです
治療:抗菌剤投与(目安5〜14日くらい)
まとめ
記事であげたいくつかの疾患は診断の確定にMRIやCTが必要な場合もあります
全身麻酔など考慮しなければならないことも多く、ご両親の判断は難しく悩むところです
疑わしい症状で検査の必要性の高さをよく主治医の先生と話し合い、治療、検査を決めましょう
治療が遅れると骨が損傷したり、将来の歩行に影響することもある症状がありますので、迷ったら早めに受診しましょう
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